カオハガン島ボランティア2008

論文・コラム

動物病院を上手に利用するために

初めて仔犬・子猫を飼われる方へ

院長ブログ 雑事総論


当院は飼い主さんと共に考える獣医療を目指しております。

狂犬病とは

原因

狂犬病ウイルス(モノネガウイルス目、ラブドウイルス科、リッサウイルス属)

感染

狂犬病ウイルスの感染源動物は、先進国では主に野生動物で、北米では特にアライグマ、スカンク、キツネ、食虫コウモリ、ヨーロッパではアカギツネが中心になっている。一方、発展途上国では、主に犬や吸血コウモリ(中南米)で、人での発生の90%以上がこれらの国々で起こっている。

通常、狂犬病ウイルスに感染している動物による咬傷の部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入する。実験室感染では経気道感染もありうる。

潜伏期は平均30日(2週間〜1、2年)。

症状

ヒトの場合、前駆期(2?10日間)にはかぜに似た症状のほか、咬傷部位に掻痒感、熱感などの異常感覚がみられる。次の急性期には不安感、恐水症状、興奮性、麻痺、精神錯乱などの神経症状が現れ、2?7日後に昏睡期に至り、呼吸障害により死亡する。また、急性期の神経症状がみられずに麻痺が全身に拡がる例もあり(麻痺型)、特にコウモリに咬まれて発病したケースに多く、死亡までの病期は比較的長い。

狂犬病は、発病するとほぼ100%死亡する。 これまで記録が明らかな回復例は3例しかない。

動物の場合、基本的な症状は、人間と同じである。狂犬病の動物に噛まれてから1ヶ月ほどの潜伏期で、目的もなく動き回ったり、吠えたりする症状が現れる。また、性格の変化も現れる。 次いでわずかな刺激にも反応して攻撃する興奮期に入る。また、通常食べることのないわらや土のようなものも食べるようになる。(異味症・異食症)のどの痙攣や麻痺が起こると 水分摂取ができなくなるだけでなく、唾液も飲み込めないため、よだれを流しつづける。やがて痙攣発作が起こり、呼吸が停止して死亡する。

診断

動物での生前診断はいずれの方法でも検出率が低く、実用化されていない。咬傷事故を起こした動物は、捕獲後2週間の係留観察が義務付けられている。発病した場合、直ちに殺処分し脳組織を診断に用いる。感染動物の脳組織をスライドに圧片し、蛍光抗体法でウイルス抗原を検出する方法が、約1時間で判定出来ることから、世界で最も一般的に用いられている。その外に、ウイルス分離、遺伝子診断も使われている。ヒトでは脳脊髄液や血清中抗ウイルス抗体の検出、皮膚、角膜などからウイルス抗原の検出すること。また死後の診断では脳組織中のウイルス抗原の検出、あるいはウイルスの分離を実施する。しかし、恐水症状などの定型的な症状を示さないケースがしばしばあり、症状や経過だけでは種々の神経疾患との鑑別が困難で、原因不明の神経疾患として死亡した患者の中に、死後の病理組織学的検査により狂犬病と診断されることがある。

治療

発病後の有効な治療法はなく、発病後数日以内にほぼ100%が死亡する。

罹患動物に咬まれた場合の治療として、ワクチン接種および抗ウイルス抗体の投与により発症阻止が図られる。

予防

通常はヒトからヒトへの感染はない(終末感染)。

世界の多くの国でイヌの狂犬病が発生している現状では、日本に持ち込まないように輸入動物の検疫制度の強化が重要である。

日本では、狂犬病予防法という法律で、生後91日以降の犬は毎年1回、狂犬病ワクチンの接種を受けることが義務付けられている。一部の世論(有識者も含め)には、狂犬病予防接種不要論を唱える人もいるが、世界の狂犬病発生状況無視し、北海道に代表される狂犬病侵入の危機状況を無視した暴論です。

人では流行地への旅行者、研究者、獣医師などに接種することが勧められている。他は、感染動物に噛まれた後(暴露後)でのワクチン接種を行うこと。本病は潜伏期間が長いので、咬傷後、傷口を丁寧に洗浄し、ワクチンを接種することで発病を十分防ぐことが出来る。

狂犬病常在国で、むやみにイヌや野生動物に接触しない。

トピック

世界保健機関(WHO)によると、全世界で毎年3万5000 〜5万人が狂犬病によって死亡しており、アジア、アフリカ等では狂犬病の犬から感染した患者が多く発生している。しかしながら、日本での狂犬病は1970 年にネパールで感染し死亡した症例以外には、36年間発生していなかったが、2006年11月フィリピンで犬に噛まれて帰国した京都市と横浜市の男性が相次いで狂犬病を発症し死亡した。世界のなかでは狂犬病が根絶された地域はオーストラリア、イギリス、台湾、ハワイ等と島国に限られていた。しかしながらイギリスでは1996 年にコウモリの狂犬病が見つかり、またユーロトンネルの開通でフランス等からの狂犬病の侵入がおそれられている。またオーストラリアのコウモリ(fruit bat)から狂犬病に類似したAustralian bat virus が分離され、そのウイルスによる患者が1996年に報告された。こうしたウイルスによる狂犬病様疾患またコウモリによる狂犬病があらたに注目されてきている。

海外、特に東南アジアで狂犬病が疑われたイヌ、ネコおよび野生動物にかまれたり、ひっかかれたりした場合、まず傷口を石鹸と水でよく洗い流し、狂犬病ワクチンと抗狂犬病ガンマグロブリンを投与する。狂犬病は一旦発症すれば特異的治療法はない。

WHO およびわが国では暴露後免疫(治療用としてのワクチン)は接種開始日を0として3 、7 、14 、30 、90 日の6回を推奨している。前述のように日本では狂犬病が発生していないので、旅行等で海外にでかけてもその危険性を認識していない人が多く、イヌに不用意に近づきかまれる例があとを絶たない。むやみにイヌや野生動物に接触しないこと、現地の状況や活動範囲などから危険度を考慮して、必要があればワクチンをあらかじめ接種するよう勧められている。

以前の検疫は、イヌと家畜のみしか行われていませんでしたが、現在はネコ、アライグマ、きつね、スカンクが狂犬病、サルがエボラ出血熱とマールブルグ病について検疫が行われている。

●キツネ、アライグマ、スカンク、コウモリ、ジャッカルなど、野生動物に感染サイクルが成立している。

(この小論は17年度日本小動物獣医師会・動物看護師委員会製作のテキストを基に作成した)

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